ビジネスパーソンを悩ませる頭痛の対処法
こんにちは。カラダシルプロジェクト運営事務局です。
今回は、さまざまな場面で多くの人を悩ませる「頭痛」のおはなしです。
男性のみなさんも頭痛になったことがない方は、おそらくいないと思いますが、女性は男性と比べて、頭痛の症状が発症しやすいことがわかっています。たとえば、代表的な頭痛の症状である「片頭痛」に関しては、女性は男性に比べて3~4倍の有病者*1がいることが報告されています。
そこで今回は、お悩みを持たれる方も多い「頭痛」の基礎知識と予防方法についてお届けします。
頭痛の種類は1つだけではありません
頭痛には、風邪や二日酔いなどで一次的に起こる頭痛の他に、何日も症状が続く、慢性頭痛と呼ばれるものがあります。
慢性頭痛には、片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛と種類があり一次性頭痛とも呼ばれています。片頭痛はズキズキと痛むのが特徴です。緊張性頭痛は一般的によく見られ、筋肉の緊張やストレスにより引き起こされることが多く、締めけられるような痛みや頭が重く感じるのが特徴です。群発頭痛は年に1回程度、激しい痛みが連日続く特徴があります。
その他、二次頭痛とよばれるくも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、髄膜炎・脳炎などを原因とした頭痛もあり注意が必要です。
多くの女性を悩ませる「片頭痛」
女性だけが発症するわけではありませんが、男性よりも女性のほうが発症しやすいのは片頭痛です。
片頭痛は心拍に合わせてズキンズキンと痛む特徴があり、運動の後に痛みが起こったり、日光や騒音によって痛みがひどくなったりします。片頭痛についてはまだはっきりとした原因が分かっていないものの、生理のタイミングで頭痛の症状が現れる方が多く、50~60代頃から徐々に発症しにくくなるため、女性ホルモンとの関係が強いのではないかと考えられています。
頭痛の症状があるときは
頭痛の症状は日常的に起こるため、大したことがないと感じることが多いかもしれませんが、頭痛には大きな病気が隠れていることがあります。体質だからと、痛みを放置することなく、神経内科や脳神経外科などで気になる症状について1度検査をしてみるということが大切ですし、安心にもつながります。
検査で異常が見当たらない場合は、ストレスや緊張などが起因している可能性もありますので、気になることがあれば心療内科などを受診する選択肢もあります。
頭痛はそれぞれの原因によって対処・治療方法が異なるため、日常的に頭痛を繰り返している方は、まずは何が原因となっているのかを突き止めるのが大切です。知らぬ間に脳の病気が進行して、最悪な場合は命に関わることもあるので、不安な方はお早めに医療機関を受診しましょう。
慢性頭痛を予防するために
緊張型頭痛は血液の循環が悪くなることで発症することがあるため、筋肉のコリをほぐしてあげることが有効な場合があります。頭の重さを感じたり肩こりが気になったりするようであれば、首筋や肩を軽く揉みほぐしたり、蒸しタオルで温めたりしましょう。
おすすめは肩甲骨ストレッチです。
まず、両ひじを大きく曲げて肩より上の高さに持ち上げます。その際、軽く握って鎖骨のあたりに置くようにしましょう。
次に、上げた両ひじを5秒かけながらゆっくりと後ろに引いてください。この時、ひじの位置はできるだけ下げないように注意しましょう。
最後に、肩甲骨を寄せたままひじを下げて、力を抜いてください。
このストレッチを、朝起きた時と寝る前に5回ずつ行う習慣をつけると、肩まわりのコリが解消されていくでしょう。
片頭痛は脳の血管が収縮し、神経が刺激され、血管が拡張することで起こるとされるため、血管の拡張・収縮作用がある食品の摂取量を控えましょう。代表的な食品としては、チョコレートや赤ワインなどポリフェノールを多く含む食品が挙げられます。
また、片頭痛は強い光や騒音、タバコのにおい、激しい振動などの外部からの刺激によっても誘発されるので、それらの刺激をできるだけ避けるように日々の生活の中で工夫していきましょう。
さらに詳しく!宋美玄先生に聞きました
日々の生活で気になること、もっと知りたい疑問を宋先生に聞きました。
宋美玄先生
産婦人科医、医学博士
2001年、大阪大学医学部卒、川崎医科大学講師、ロンドン大学病院(胎児超音波部門)留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。
主な著書に、「産科女医からの大切なお願い:妊娠・出産の心得 11か条」(無双舎)、「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)などがある。
- 女性の生理と片頭痛は関係がありますか?
女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つがあり、これらのホルモンの分泌量が増えたり減ったりすることで月経を起こしますが、特にエストロゲンが片頭痛に関係があると言われています。
エストロゲンは前回の生理が終わると、排卵に向けて増え、排卵時に急激に減ります。その後また増えて次の生理に向けて減少するという周期を繰り返します。このエストロゲンが減少する時に脳内のセロトニンや神経伝達物質のバランスが変化して血管が拡張し偏頭痛が起こると考えられています。
- 頭痛薬を飲みすぎると良くない、ということも聞きます。お薬の使い方などでアドバイスや、病院に行くときに伝えるべきことや準備しておくこと、行くタイミングなどでアドバイスはありますか?
お薬を飲むと一時的に痛みがなくなり、ついつい病院を後回しにしてしまう人も多いと思います。自己判断で市販薬を使うよりも頭痛ダイアリーをつけて専門医に相談することをオススメします。市販薬を使用しても度々起こる場合は、頭痛の頻度やタイミング、時期や痛みの程度、痛む場所などを頭痛ダイアリーに記入して専門医を受診するといいでしょう。
参考:
厚生労働省 「知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス」
「わかりやすい病気のはなしシリーズ」(日本臨床内科医会)
「サワイ健康推進課」(沢井製薬)
※1「<シンポジウム 31―2>片頭痛の慢性化,難治化のメカニズムと治療片頭痛の経過・自然歴」 古和久典・中島 健二