新型コロナワクチンってどんなもの? 2021年8月10日時点

日本で使うことができる新型コロナワクチンは3種類あります。それぞれに共通すること、違うことを改めて整理しましょう。

2つのタイプの新型コロナワクチン

このメッセージを書いている8月8日時点で、日本で利用可能な新型コロナワクチンは3種類あります。

    • ファイザー社の「コミナティ」
    • 武田薬品工業社の「COVID-19ワクチンモデルナ」(モデルナ社製)
    • アストラゼネカ社の「バキスゼブリア」

どのワクチンも共通して、新型コロナウイルス感染症の発症予防が目的です。違いはワクチンのタイプ(作る技術)、接種の対象者、接種間隔などです。作る技術が違うため、効き目や安全性に違いがでたり、対象者や接種間隔が変わりますこちらの記事もご覧ください)

日本で利用可能な新型コロナワクチンには2つのタイプ(作る技術)があります。一つがmRNA(メッセンジャーアールエヌエー)を使うワクチン、もう一つがウイルスベクターを使うワクチンです。ファイザー社、武田薬品工業社(モデルナ社)のワクチンがmRNAワクチン、アストラゼネカ社ワクチンがウイルスベクターワクチンです。

タンパク質の設計図を使うmRNAワクチン

mRNAとは「たんぱく質の設計図」の総称で、人の体の中にもある物質です。新型コロナウイルスの表面にあるたんぱく質(名札のようなものと考えてください。これをスパイクたんぱくと呼びます)の設計図に似たmRNAを作ってワクチンとして使います。

mRNAワクチンを体の中に入れる(ワクチンとして接種する)と、体の細胞(筋肉注射の場合は周りの筋肉の細胞)がこのmRNAを使って新型コロナウイルスの名札を作ります。体の免疫は、これを相手に新型コロナウイルスとの闘い方を覚え、抵抗力を鍛えるという仕掛けです。

mRNAは非常に脆いので、数時間のうちに壊れてなくなってしまいます。また、名札になる部分のたんぱく質の設計図だけを使うので、コロナウイルスの感染が起きることはありません。mRNAワクチンは新しいですが、研究は長く続けられてきたものです。今後はがんの治療への応用にも期待されている技術です。

遺伝子を使うウイルスベクターワクチン

ウイルスベクターとは、ワクチンに使われる「運び屋」のことです。このタイプのワクチンでは、病原体である新型コロナウイルスのほかに、ワクチンの担い手として別のウイルスが登場します。この担い手(=運び屋)をウイルスベクターと呼びます。

このウイルスベクターに、新型コロナウイルスの遺伝子の一部を持たせます。運び屋が新型コロナウイルスになるわけではありません。

このウイルスベクターを体の中に入れる(要は、運び屋ウイルスの感染を起こします)ことがワクチンの接種にあたります。体の中に入ったウイルスベクターは、自分が運んでいる新型コロナウイルスの遺伝子(ワクチンに使う部分です)を体の細胞に渡します。その細胞は、この遺伝子を使って新型コロナウイルスの名札を作ります。その先の仕組みはmRNAワクチンと同じです。この技術も長く研究されており、すでに他の病気の治療にも使われています。


※CDC「COVID-19 Vaccination」を元にHealth Amulet編集部作成

接種会場によって、接種するワクチンが違います

どのワクチンが接種されるかは接種会場によって決まります。事前に確認しましょう原則として、お住まいの地域での接種(医療機関や自治体による接種会場など)ではファイザー社、東京と大阪にある大規模接種センターや職域接種では武田薬品工業社(モデルナ社)のワクチンが使われています。アストラゼネカ社ワクチンは、各都道府県に1か所以上の接種センターが設置されることになっています。8月10日時点での各ワクチンの対象年齢や接種間隔の違いはこちらの記事をご覧ください。

接種したら、記録しましょう!

接種日が決まったり、実際に接種をしたら、日付を忘れてしまわないように「ヘルスアミュレット」で日付の管理をしましょう。また、接種した場所、ワクチンメーカー、どの番号(製造番号)のワクチンを接種したかを記録しておきましょう。今後、3回目の接種が必要になった時やワクチンの有害事象が疑われた時に、自分の身を守ってくれる大事な情報です。

参考文献:

厚生労働省「第1回新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業に関する自治体向け説明会 資料」
CDC「COVID-19 Vaccination」​

※2021年8 月現在の情報を参考に作成しています。

​作成:Health Amulet編集部