知りたい、変異株のこと ※2021年8月10日時点

新型コロナウイルスの変異株が話題になっています。変異株についてわかっていることとわかっていないことを正しく知り、正しく備えましょう。基本の対策は同じです。

変異株は性質が変わった子孫のこと

新型コロナウイルスの設計図である遺伝子は、約2週間ごとにほんの少しずつ(だいたい3万分の1くらい)書き変わっているいるとされています※1。設計図が少し変わって新しい性質を身に着けたウイルスを、「新型コロナウイルスの変異株」と呼びます。

遺伝子の変わり方が大きい場合には、新型コロナウイルスと呼ばれなくなることさえあります。この場合は変異「種」と呼ばれ、新しいウイルスの名前がつきます※2。

変異株には手ごわいものもあります

国立感染症研究所では、変異株の警戒すべき度合いを評価しています。大事なポイントは主に以下の3点です。

1)感染力が高い可能性
2)重症化しやすい可能性
3)免疫やワクチンが効きにくい可能性

このメッセージを書いている8月10日時点で、日本で警戒すべきとされている変異株(懸念される変異株(Variant of Concern : VOC)に相当)は以下の4つです※1。

    • B.1.1.7系統の変異株(アルファ株:以前は英国株と呼ばれていました)
    • B.1.351系統の変異株(ベータ株:以前は南ア株と呼ばれていました)
    • P.1系統の変異株(ガンマ株:以前はブラジル株と呼ばれていました)
    • B.1.617.2系統の変異株(デルタ株:以前はインド株と呼ばれていました)

どの株も感染力が高く、入院が必要となるリスクが高いとされています。ワクチンが効きにくくなる可能性も報告されています。

デルタ株が欧米で増えています

デルタ株は、感染力が高く、入院リスクが高く、ワクチン効果を下げると言われており、要注意の変異株です。7月に入って世界でデルタ株の報告が相次いでいます。英国では7月上旬に判明した感染の96%、米国では82.2%がデルタ株だったと推計されています※3。日本でも、6月の時点では国内の感染はほとんどがアルファ株でしたが、その後デルタ株の感染が増えていることがわかっています。 

米国では、デルタ株の特徴が以下のように報告されています※4

    •  これまでよりも感染力が高い
    •  ワクチン未接種の人が重症化しやすい
    •  ワクチン接種が完了して14日以上たった後でも感染(ブレークスルー感染と呼びます)し、人にうつすことがある
    •  ワクチンを接種しているほうが重症化しにくく、人にうつす期間も短いようである

どうすればいいの?

感染対策はこれまでと変わりません。現時点では、デルタ株も含めた変異株にもワクチン接種が非常に効果的とされています※4。そして、感染しないための基本である、病原体に触れない、触れても体の中には入れないことが大切です。もし感染しても、体の免疫(抵抗力)が強ければ感染症にならずに、または軽症で病原体に勝つ(体から病原体をなくす、病原体の活動を止める)ことができます。また、感染症になってもすぐに治療を開始することで重症化を防げる場合があります。

3密の回避に加えて、こちらの記事を参考に以下のような標準予防策を続けましょう。

    • 手洗い
    • 咳エチケット
    • 手袋、マスクなどの使用
    • 周囲の消毒

基本の対策は同じです

ウイルスは一定の頻度で姿かたちを変えますが、新たな、そして警戒すべき変異株が確認された当初は、わからないことも多く、対応のためには準備や検証のための時間が必要です。その間は不安を募らせないように、そしてうわさ話しに不安ばかりがあおられてしまわないようにできるだけ正確な基本情報を今から身につけておきましょう

 

参考文献:

※1 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※2 一般社団法人 日本感染症学会「【重要】変異「種」の誤用について(報道機関 各位)」
※3 国立感染症研究所「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第12報)」
※4 CDC 「Delta Variant: What We Know About the Science」

※2021年8月現在の情報を参考に作成しています。

作成:Health Amulet編集部