第3回 女性が便秘になりやすい理由と予防方法

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女性が便秘になりやすい理由と予防方法

こんにちは。カラダシルプロジェクト運営事務局です。

今回は、女性をひそかに悩ませる「便秘」についてのおはなしです。

「女性は便秘になりやすい」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれはあながち間違いではないそうです。

便秘になると、肌荒れや肥満につながる可能性が高まるだけではなく、さらに重い病気にかかるリスクも増えていきます。

Breakfast with muesli, strawberry salad,

便秘にならないために気を付けるべきことはありますか?

便秘の原因が病気ではなく日々の生活習慣にある場合、食生活や運動習慣を見直すことである程度の予防が可能です。

手軽にできる便秘解消法としては、起床直後に冷水または冷牛乳を飲むことです。冷たい水を飲むことで胃が刺激され、大腸の動きが活発になるだけでなく、水分によって便が軟らかくなり、排便が促されることがあります。

また、ダイエットのために食事の数・量を極端に減らすことで腸に溜まった便を押し出せなくなることがありますので、過剰な食事制限は控えましょう。食物繊維が豊富な野菜や果物を普段の食事に1品追加したり、朝食を抜かずに1日3食しっかりと固形物を食べるようにすることも有効です。

ヨーグルトや乳酸飲料に含まれるビフィズス菌は腸内細菌の一つで腸の働きを活発にしますが、これと同じような働きをすると言われているのが味噌や納豆などの発酵食品です。

これらの食品と合わせて、ビフィズス菌の働きを活発にするオリゴ糖を含む、バナナやゴボウなども摂るようにしましょう。

便秘はストレスや睡眠不足などによる自律神経の乱れが原因となることもあるので、遅くとも12時には寝て7時間の睡眠を確保できるよう規則正しい睡眠を心がけましょう。また、デスクワークなどであまり体を動かす機会が無い方は、1時間に1度は立ち上がって背伸びをすることで、体の緊張をほぐすようにしましょう。

便が出にくいのですが、これは便秘なのでしょうか?

日本内科学会によると、「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」のことを便秘と呼んでいます。たとえば月曜日に排便があったあと、次の木曜日までに便がなければ便秘だと考えてよいでしょう。もしくは、便があったとしてもスムーズに排便ができなかったり不快感を抱いたりする場合は便秘の可能性を疑ってください。

また、便秘は思春期から60歳未満までは男性に比べて女性のほうが発症しやすいものの、高齢になると男性も症状を訴える方が増えてきます。

便秘がちなのですが、原因がわかりません

便秘にははっきりとした原因がわからないものも多いのですが、一般的には食生活の偏りや運動不足、ストレスなどで腸の動きが悪くなることによって引き起こされる場合や、なんらかの病気の影響で便秘になることがあります。

また、トイレを我慢しがちだったり、腹筋が弱く便を十分に押し出すことができなかったりする方も便秘になる傾向があります。

女性は便秘になりやすいって本当ですか?

月経前に便秘の症状が出始めて、生理が始まると症状が落ち着く経験をされた女性もいらっしゃるのではないでしょうか。これは排卵後に多く分泌される「黄体ホルモン」という女性ホルモンが関係していると言われています。

黄体ホルモンは腸の動きを抑える働きだけでなく、体に水分を溜め込む働きも持っているため、腸内の水分が体内に吸収されることで便が硬くなり、便秘になりやすくなるのです。このように、黄体ホルモンの影響によって腸の動きが弱い時期があることが影響していると言われています。また、腹筋などの筋力が男性よりも弱いことも影響していると言われています。

便秘になったら、すぐに病院に行くべきでしょうか?

便秘の症状が出始めた場合は、まずは生活習慣の見直しから始めましょう。食物繊維を多く摂取したり、散歩やストレッチ程度の適度な運動習慣を身につけたりすることも有効です。

また、腹筋を鍛えるのも効果的です。腹筋を鍛える際は1度にたくさん行うより、軽めに毎日行うとよいでしょう。

おすすめは、10回程度を毎日続けることです。まずは仰向けになって脚を軽く折り曲げ、両手を頭の後ろに組み、腹筋のあたりに少しだけ力を入れるイメージで爪先を見るようにしながら頭を少しずつ起こしていきます。その際、なるべくゆっくりと息を吐くようにしましょう。その姿勢を5秒ほど維持したら頭を元の位置に戻します。この運動を毎日の習慣にしていきましょう。

ただし、もしも症状が改善されなかったり悪化したりした場合は、薬局で相談した上で最小限の量の市販薬を服用するようにすることが大切です。

また、「便を毎日出さなければならない」という思い込みはプレッシャーをかけることになってしまい、便秘の解消には逆効果です。便秘の症状が現れた場合であっても焦らないことが大切で、もしも不安が膨らんだ方はお早めに医療機関を受診することをおすすめします。

さらに詳しく​!宋美玄先生に聞きました 

​日々の生活で気になること、もっと知りたい疑問を宋先生に聞きました。

​宋美玄先生

産婦人科医、医学博士

2001年、大阪大学医学部卒、川崎医科大学講師、ロンドン大学病院(胎児超音波部門)留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。

主な著書に、「産科女医からの大切なお願い:妊娠・出産の心得 11か条」(無双舎)、「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)などがある。

- 生理前は便秘になりやすいと聞きます。なぜですか?

黄体ホルモンである、プロゲステロンが多く分泌されている時期のためです。プロゲステロンが大腸のぜん動運動を抑えたり、腸内の水分を体内に吸収しやすくすることで、便が固くなり、便秘になりやすくなります。

そのため、黄体ホルモンの分泌が急減する月経中は便秘が解消されるという人が多いです。

- 便秘薬の種類や選び方について、上手な使い方はありますか?

Image by Adam Nieścioruk

酸化マグネシウムのようにマイルドでクセになりにくいものから試してみるといいでしょう。酸化マグネシウムには、便の水分を増やし軟らかくし、排便がスムーズにする働きがあります。

効きが悪い場合は、お薬の働きが違うもの(センナなど)を併用するといいでしょう。

参考:
​厚生労働省 「e-ヘルスネット」
日本大腸肛門病学会「大腸・肛門の病気について」