新型コロナウイルスの変異株が話題になっています。変異株についてわかっていることとわかっていないことを正しく知り、正しく備えましょう。基本の対策は同じです。
変異株は性質が変わった子孫のこと
新型コロナウイルスの設計図である遺伝子は、約2週間ごとにほんの少しずつ(だいたい3万分の1くらい)書き変わっているいるとされています※1。設計図が少し変わって新しい性質を身に着けたウイルスを、「新型コロナウイルスの変異株」と呼びます。
遺伝子の変わり方が大きい場合には、新型コロナウイルスと呼ばれなくなることさえあります。この場合は変異「種」と呼ばれ、新しいウイルスの名前がつきます※2。
変異株で心配なことは?
ウイルスの変異株で心配なのは、たとえば感染力が高くなったり、重症になりやすくなったりする性質を身に着けてしまった場合です。そして、そうした変異株が確認された当初は、わからないことも多く不安が募るのでやっかいです。
最近話題になっている新型コロナウイルスの変異株は、日増しに全貌の解明が進んでいます。今のところ、変異株であってもその対策はこれまでの新型コロナウイルス対策(こちら)と同じです。わかっていることを正しく知って、正しく備えましょう。
新型コロナウイルスの変異株ってどんなもの?
最近話題になっている「新型コロナウイルスの変異株」は3種類あります。これらは、最初に変異株が確認された国の名前をとって英国株、南アフリカ株、ブラジル株と呼ばれています。どれも日本でも感染者が確認されています。
3つの変異株は、次の2つの性質を備えている可能性があるとされています。
1)感染力が高い可能性
2)免疫やワクチンが効きにくい可能性
変異株でわかっていること、わかっていないこと※3
英国株は年齢を問わず感染力が高く、また重症化する可能性が高そうだとされています。今のところ、日本で使われているファイザー社のワクチンが英国株に効きにくいという証拠はありません。
南アフリカ株も感染力が高いようだとされています。また、従来の新型コロナウイルスに対して抵抗力(免疫)がある場合やファイザー社のワクチンを接種した後でも、この株には効きにくい可能性があるともされていますがはっきりしていません。ただし、重症化しやすいという証拠はありません。
ブラジル株も南アフリカ株と同じような性質(感染力が高い可能性、免疫やワクチンが効きにくい可能性がありますが、重症化しやすい証拠はありません)をもっているとされています。
どうすればいいの?
感染対策はこれまでと変わりません。感染しないためには、病原体に触れない、触れても体の中には入れないことが大切です。もし感染しても、体の抵抗力が強ければ感染症にならずに病原体に勝つ(体から病原体をなくす、病原体の活動を止める)ことができます。また、感染症になってもすぐに治療を開始することで重症化を防げる場合があります。
3密の回避に加えて、以下のような「標準予防策」を続けましょう。
・手洗い
・咳エチケット
・手袋、マスクなどの使用
・周囲の消毒
変異株の検査はPCRで行います(PCR検査についてはこちら)。国は、2021年1月下旬から変異株のPCR検査方法を周知しています。また、海外から変異株が国内に持ち込まれないように、変異株が流行している国や地域を指定してチェックを強化しています※4。
参考文献:
※1 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※2 一般社団法人 日本感染症学会「【重要】変異「種」の誤用について(報道機関 各位)」
※3 国立感染症研究所「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第7報)」
※4 厚生労働省「水際対策に係る新たな措置について」
※2021年4月現在の情報を参考に作成しています。
作成:Health Amulet編集部