第4回 PMSは当たり前だと思っていませんか?今日からできる予防と対策

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こんにちは。カラダシルプロジェクト運営事務局です。
今回は、月経困難症・月経前症候群(PMS)についてのおはなしです。

月経中の腹痛や腰痛、月経前のイライラや肌荒れ、体重の増加など、月経に関する悩みを持たれている方は少なくありません。
そこで今回は、日常で悩みを持たれる方も多い月経に関するお悩みについて、少しでも軽減、予防するための方法をお届けします。

生理前や生理中に痛みがあったりや気分が不安定になります

月経期間中に発生する、腹痛や腰痛、下痢、吐き気、頭痛、疲労、食欲不振などの身体的な症状や、憂鬱、イライラなどの精神的症状などを含む症状を月経痛と呼びます。この月経痛が強く、日常生活に支障をきたす場合を月経困難症といいます*1。

また、PMSは「Premenstrual Syndrome」の略で、生理前の3日~10日の黄体期に、生理前に身体的・精神的な体調の変化が見られるようになります。その症状には個人差がありますが、頭痛やむくみ、体重増加などが現れるようになる人もいれば、イライラしやすくなったり、憂鬱な気分になったりと心の状態が乱れるようになる人もいます。PMSは月経が起こると症状がなくなったり、軽減する特徴があります。

なぜ症状が現れるのですか?

月経困難症・月経前症候群(PMS)の原因はまだはっきりとは分かっていないものの、生理周期に応じて症状が出やすくなることから、女性ホルモンの乱れと関係があるのではないかと考えられています。

排卵から月経までの期間(黄体期)にはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。特にプロゲステロンは、妊娠していない場合に剥がれて月経として出血してくる子宮内膜に作用して、月経痛の原因となると考えられています*2。

PMSは、黄体期の後半にエストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因と考えられています*3。

女性ホルモンの分泌量には個人差がありますし、女性ホルモンが体内物質と相乗的に働くことで症状にも違いが出てきます。

予防したり症状を抑えたりする方法はありますか?

月経困難症やPMSの症状を軽くするためには、女性ホルモンの乱れをなるべく抑えることが有効だと考えられています。

女性ホルモンが乱れることで血糖値が調整しにくくなることがありますが、たとえば1日の食事を4〜6回に分けてとることで血糖値をゆるやかに安定させられるため、症状の軽減に効果が期待できます。また、カフェインを摂取することで神経が興奮状態になり、心の状態が乱れてしまうこともあります。普段からコーヒーや紅茶を飲む習慣がある方は、量を控えるか、カフェインレスのものを選ぶようにしましょう。

また、女性ホルモンが乱れる原因としては、ストレスや食生活の乱れ、不規則な睡眠などの生活習慣によるものも多いため、できればPMSの症状が現れるようになってからではなく、早いうちから健康的な生活習慣を身につけることが大切です。

月経前は、骨盤の血流の流れが悪くなり、月経痛を強くすることがあります。

月経の始まる1週間くらい前からジョギング、ウォーキング、スイミング、あるいはヨガやエアロビクスなど適度な運動を取り入れることも意識してみましょう*4。

それでも辛いときはどうしたら良い?

症状がつらいときには、我慢せずに痛み止め(鎮痛剤)を服用しましょう。

鎮痛剤を選ぶには、痛みの原因となるプロスタグランディンをブロックできる薬(プロスタグランディン合成阻止剤)がより効果的です*5。また、低用量ピル(OC)も月経痛に効果があると言われています*6。

月経困難症の原因は、排卵した後、卵巣から分泌されるプロゲステロンの作用が原因と考えられています。この原因となるプロゲステロンの分泌を抑えれば月経痛を予防することができます。低用量ピルは、排卵をストップすることから避妊薬としても使いますが、月経痛治療薬としても使うことができます。

月経痛によって、仕事や学業能率の低下や生活に障害が出る場合や、年単位で痛みが強くなる場合、月経時以外にも痛みがある場合も、婦人科に相談しましょう。

厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)が監修する、「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」では、「生理痛チェック」としてご自身の生理に関する症状をチェックすることができます。

さらに詳しく​!宋美玄先生に聞きました

​日々の生活で気になること、もっと知りたい疑問を宋先生に聞きました。

​宋美玄先生

産婦人科医、医学博士

2001年、大阪大学医学部卒、川崎医科大学講師、ロンドン大学病院(胎児超音波部門)留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。

主な著書に、「産科女医からの大切なお願い:妊娠・出産の心得 11か条」(無双舎)、「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)などがある。

- 自分の月経が普通かどうか、よくわかりません。気を付けておいたほうが良い点、受診のサインはありますか?

周期が25〜38日以内になっているかどうか、期間が3~7日以内になっているか注意して記録してみてください。また、日常生活に支障があるような痛み、ナプキンが1時間持たないような出血があればそれも受診理由になります。

- 月経前のイライラが止まりません… ピルを使うと楽になるでしょうか?選ぶポイントはありますか?

イライラがホルモンの変動によるものであればピルなどで排卵をなくせば改善が期待できます。種類によってPMSにオススメのものもありますが、実際に飲んでみて合うかどうか試してみるのが大事です。

- PMSの期間を少しでも楽に過ごすためにできるセルフケアや、PMSの前にできることはありますか?

PMSの時期に出現する症状によりますが、バランスのとれた食事、適度な運動、睡眠リズムなど一般的な健康管理に加えて、リラックスできるようなルーチンがあるといいでしょう。日常生活に支障がある場合は大事な予定は外しておきましょう。

参考:

※1~5 厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修 「女性の健康推進室ヘルスケアラボ」

公益社団法人 日本産科婦人科学会 「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」